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N4527BC-188
asdsz
Sense188

 無事、洞窟入り口まで辿り着いた俺たちは、覗き込む様に下を見ると登るのに慣れない人たちが苦労しているのが見られる。

「やっぱり、本気で飛行MOB作ろうかしら。一回の運搬でお金取れば、結構儲けられそう」
「……エミリさん、それって本気?」
「本気よ。【素材屋】って二つ名があっても所詮は、生産職向けの素材の合成と錬金がメインだから収入は、そんなに儲けは無いのよ。それにMOBを作るのに大量の素材が必要で買い揃えるにもお金が掛かるし」

 はぁ、と溜息を吐き出す。エミリさんも金欠気味か。分かる、その気持ち。俺も金欠だったし、今では店の売上で収入が安定しているが、未だにメインの稼ぎは委託販売だ。今あるお金も店の維持費や畑や店、生産道具の増設するための貯金、装備の修理費などである。

「確かに、一人五千Gでもパーティー六人なら三万Gは稼げる。あそこにいる人全員を運んでも二十五万Gくらいになるんじゃないのか?」
「でも、これって一過スニーカー ナイキ
スニーカー ナイキ
スニーカー ナイキ
性の物でしょ? 継続した儲けじゃないなら、稼ぎは少なくてもセンスが成長できる方法を探すわ」
「まぁ、そうだよな」
「二人とも、何時までもそこに居ないで洞窟に入るぞ」

 タクに声を掛けられて、洞窟の中に入り込む。先頭を歩くタクの掲げる光源のランプで数メートル先を照らすが、【空の目】の暗視能力がその奥まで見通す。
 闇の中に光る緑色の瞳と壁や天井を這う様な姿。

「気を付けろよ。動きは遅いけど、一瞬で跳びかかって来るから」
「なんだ。あれは」
「ダイバー・テイル。闇の中に潜り込んで、いきなり襲ってくる。影に逃げ込まれたら魔法でしかダメージが通せないから、剣士はカウンター狙いが基本だな」

 数は結構多いが、動きは少ない。それに壁には、鉱石の採取ポイントがあるのか。

「じゃあ、倒しながら鉱石の採取するか。素材はあっても足りない事は無いし」
「おいおい、俺としては相性の悪い相手だから守りながらはキツイって。ユンは魔法メインで戦えないか?」
「それなら私が掘るからユンくんが魔法主体で二人で守ってくれれば良いんじゃない?」

 入り口付近は、敵が寄ってこないが、それでも少しでも踏み出せば襲ってきそうだ。

「俺は、素材の採取が出来れば、それで良いよ」
「じゃあ、その方向性で。ただし、全部の採取ポイントは回れないぞ」
「私は、発見系のセンスは無いから見つけた奴だけにするわ」

 話が纏まった所で俺たちは、洞窟の中に入る。早速、二つの採掘ポイントを見逃して勿体ない気がするが、それを見送って二人の後に続く。
 駆け足の速さで走り抜ければ、すれ違ったダイバー・テイルは、僅かに俺たちを追うだけでしつこい追跡は無さそうだ。どうやら、リンクする範囲が狭く設定されている様だ。

「ここにポイント!」
「じゃあ、俺とユンが守るから手早く頼む。ユンは右側」
「了解! 【付加】――アタック、ディフェンス、インテリジェンス」

 タクの指示を受けて、俺はエミリさんに背を向けて、武器を構える。狭い場所で厄介な敵を相手に弓では不利と判断して、一対の包丁を取り出す。
 ずっしりと思い黒の肉断ち包丁・重黒を構えて、相手が跳びかかって来る前に、こちらから攻撃を仕掛ける。

「――【ロックバースト】」

 地属性の魔法【ロックバースト】。目の前に生み出した岩が砕けて散弾の様に飛んでいく魔法で仕留めに掛かるが、ボムより威力は高いが、確実に仕留めるには威力が足りない。
 普段は、魔法を控えた戦い方をしていたが、この時ばかりは魔法のレベルも上げとけばよかった。と後悔する。
 エンチャント込みのロックバーストは、特に狙いを定めなかったために、ダメージを受けた個体と受けていない個体が居る。こういう所も使い辛い所かと思いながらダイバー・テイルが襲ってくる。
 咄嗟に、右手の包丁を前に掲げ、受け止めると包丁に噛みつくようにして実態を表す醜悪な猫。
 釣りあがった狂暴な目と棘に生えた太い尻尾。黒と灰色の斑模様の猫を組みついた包丁を力いっぱい振り回して、壁へと投げ捨てる。
 その行動で宙を舞う様に離れ、壁を蹴って地面へと潜り込んだ猫に、今のは、上手くいかなかったと感じる。
 続いて、二匹同時に襲ってきた猫を右で受け止め。左で叩き切る様に斬り伏せる。
 肉断ち包丁が重い抵抗感を持って振り抜かれ、地面に叩き付けられる猫。最初のロックバーストの影響もあり、この個体は、今の重い一撃で倒せたが息の吐く間もない位、猫たちが襲ってくる。

「っ!? 二体以上は捌けない! ――【ゾーン・ボム】」

 同時に跳びかかってきた四体が小規模の爆破に包まれ、爆破を突破してきた内の二体を切り伏せたが、残り二体に肩と足を噛みつかれた。
 ぐっと押し込む様な声を上げて、包丁を振り回すが、身軽な動きで離れてしまう。
 逃げられた猫を視線で追っていたら、横から反応があり、衝撃が走る。視線をそちらに向ければ、鞭のように伸びた棘のある尻尾が影から出ているのが分かる、また別の影から同じように尻尾が伸び、こちらに振るわれるのを半歩下がり避ける。
 俺でも避けられる攻撃に視野を広く持たないと。折角、闇を見通す暗視能力と看破があるのに宝の持ち腐れだ。
 攻撃を受ける直前、看破のセンスが反応したが、それも正しく把握できていなかった。

「回収完了!」
「ユン。撤収、俺が殿(しんがり)で次のポイントまで進行。移動中に回復しておけよ」

 まだ目の前には、半分以上敵MOBが残っている中でタクの声に従い、移動を始める。しばらく移動すれば、ダイバー・テイルは、追ってこなくなる。その時、ちらりとタクの方を見るとHPは、無傷でしかも担当していた側には、敵は残っていない。不利だとか言いつつきっちり倒しているタクに大きな差を感じつつ、減ったHPとMPをポーションで次のポイントに進む。
 一度、タクの戦い方をじっくりと観察したかったが、そんな暇はなく、常に泥臭い戦いをしながらも、どうすれば良いか考える。
 タクとの差は何か、を考えつつ。実際に見て、アドバイスを貰えれば良いが、今はそんな余裕はない。
 武器の違いや武器の扱い、または事前知識の差だろうか。引き籠りの生産職は、敵やアイテムの情報は無いって事が実地の戦闘経験がないのも大きな差だろうか。
 とにかく、エミリさんを守りながら、色々な事を意識しながら戦いを工夫してみる。だが、どうにも上手くいかない。
 時折、チラ見するタクの動きやすれ違う他のプレイヤーの戦い方を盗み見るが、参考にならない。魔法を使いつつ、身体で受け止めて、何とか追い払うのが精一杯の泥臭い戦い方。
 自分も傷つかずに守る。その難しさが良く分かった。

「これでラスト!」
「そろそろ洞窟が終わりだから後は走り抜けるぞ」
「わかった」

 遠くに見える出口を目指して走る中、背後からダイバー・テイルが追って来る。最後くらいは、やり返したい気持ちが起こる。

「タク、先に行ってくれ。最後にデカいの残す!」
「はぁ!? 何を」
「良いから!」

 タクを先に走らせ、俺は走りながら魔法を用意する。マジックジェムに込められない魔法の中で一番強い魔法を選択。ロックバーストのような点の攻撃ではない。洞窟を埋め尽くすような攻撃。それを唱える。

「ふっとべ。――【エクスプロージョン】」

 追い縋るダイバー・テイルの背後に生み出した爆発は、舐めるように爆発を洞窟内の壁に広げ、影を呑みこんでいく。だが、威力を見誤ったようだ。閉鎖的な洞窟で威力の逃げやすい出口へと広がる爆発がダイバー・テイルの代わりに追い掛けてくる。

「やばっ、タク! 逃げろ!」
「この馬鹿! 何使った!」
「二人とも早く!」

 俺の生み出した爆発が俺たちを追い掛けてくる。先ほどよりも更に足を速めて、洞窟の出口から光の元へと飛び出す。その直後に、通り抜ける爆発と煙。コントのような状況に終わった後から乾いた笑いが出てくる。

「ユン! 何をしたんだ」
「えっと……タク? 怒ってる?」
「何を、した」
「えっと、最後に【エクスプロージョン】で倒そうと思って。その、ごめん。タク、エミリさん」

 なんか、戦いでは役立たずだったし、最後の最後でパーティーを危ない目に合わせちゃったな。と気分が落ち込む。
 洞窟の入り口で座り込んだまま、顔を伏せていると、額に衝撃が走る。

「痛っ!?」
「馬鹿か、ユン程度の魔法喰らって俺たちが倒れるかよ。俺が怒っているのは、倒す必要もないのに敵に向かって攻撃を放った事。それと他のプレイヤーが居た場合、迷惑を掛けていたことだ。幸い、擦れ違いや同じ方向で近くにプレイヤーは居ないようだから良かった物を」
「……ごめん。次から気を付ける」

 自己嫌悪でまた顔を伏せる。やっぱり、タクみたいに上手く立ち回る事は出来ないな。

「俺だって最初は、上手く戦えなかったっての。そもそも、俺は、β版からずっと剣士やってるんだ。レベル差はどうあれ、プレイヤースキルだって相応に高いんだ。簡単に真似されない自負はあるんだぞ」
「タクくん、それって何気に自慢しているよ。でも、ちゃんと私を守ってくれていたんだから」

 タクの励ましのような、自慢のような言葉を聞きながらも重い腰を上げる。やっぱり、自分は、お荷物な役立たずに思えて、すぐには復帰できそうにない。

「そこのセーフティーエリアで休憩しよう。」
「うん、分かった。ごめん、ちょっとだけ休ませて」

 開けた場所に俺は座り込み、リゥイとザクロを何気なく呼び寄せる。
 精神的に凹んだ時は、少し癒されたい。ザクロを胸に抱き、リゥイのサラサラな鬣に頭を預けて、目を瞑る。
 温かくて、気持ちの良い二匹の感触を肌で感じながら、十分ほどの短い時間で気持ちをリセットするのだった。

N2229BM-7
asdsz
戦車を手に入れた

『軍資金も手に入れたところで、装備品を買い揃えようか』
「おう、ナビ頼む。まず必要なものはなんだ?」
 より信頼性の高い銃を買うべきか、それとも防弾機能のある防具類を購入するべきか、金は足りるのか等々、悩みは尽きない。

『まずは車だね。移動には必須だし。いい加減、荷物持つのも大変でしょ?』
「いや、俺、免許持ってないんだけど」
『大丈夫、この世界に運転免許はないから』
「いや、免許云々の前に運転技術の問題が……」
『ボク、運転できるよ』
「嘘!? どうやって!?」
『もちろん、リモートで。だから電子制御化された車両じゃないとダメなんだけど』
「いや、それでもありがたい。早速案内してくれ」
『了解』
 言うが早いか、ディスプレイ上に地図アプリが立ち上がる。

『ボクのおススメはここなんだけど』
「おう、じゃあ案内してくれ」
 勧められるがままに移動を開始するタクム。

 裏通りに入り、五分ほど歩くと目的の店舗が見えてきた。店前にはド派手なピンク色の看板(アーチ)が掛けられていた。

「えっと……ワンダー・タンク?」
『そう、開拓者御用達の軍用車専門の販売店(ディーラ)だよ』
 そんな店まダウン 服
モンクレール パーカー
モンクレール moncler
であるのかとタクムは驚きつつも入店する。看板の派手さとは裏腹に、内壁と床は全てむき出しのコンクリートで出来ていた。

 販売店というより、駐車場にしか見えないそこには多くの車両が並んでいた。

 車高の高い4WD車、ソフトスキンの兵員輸送車(トラック)、銃座の着いた装甲車は戦闘運転席を除く全てが鉄板で覆い尽くされている。太い履帯を持った歩兵戦闘車の頭部には機銃と強力な対戦車ミサイルが付いている。

 そして、

「うわ……」
 見上げた先には映画でしか見ないような戦車が鎮座していた。全長10メートル、全幅4メートル、分厚い鉄板で身を固め、それを支える履帯は恐ろしいほど硬質な質感を持っていた。

 長大な44口径の滑空砲が天を貫くように掲げる威容に、タクムはただただ圧倒された。

『マスターもやっぱり男の子ですね』
「そんなことねえ、ちょっと驚いただけだ」
 したり顔(こえ)で言ってくるアイに、反論するタクム。しかし、内心は戦車が欲しくてたまらなくなっていた。

 戦車さえあればどんな生体兵器にも負けないだろう。この危険な世界にあって、これほど頼もしい武装は他にない。

『でも、5百万ドルするよ』
「はぁ!?」
『普通に考えて。戦車だよ。そのくらいは当然です。ちなみに隣の装甲車も3百万ドルはするから』
 ちなみに自衛隊の10式戦車の調達価格は10億円弱であり、販売店を介しても半額なあたり、この世界での戦車需要の高さが窺える。

「そっか……世知辛いな……」
 先ほどまでに稼ぎだした25万ドルがちっぽけに感じられるぐらいの桁違いの金額に、しょんぼりと肩を落とした。

『まあ、そう気を落とさないでください。マスターならいつかは手に入れられますよ』
 もしもアイに体があればぽんぽんと肩を叩かれていただろう。いつもより、丁寧かつ優しげな口調で気遣われる。

『まあ、今日は防弾仕様の軍用トラックあたりで我慢しておこうよ。これなら小口径のライフルぐらいなら防げるし、地雷や手榴弾の爆風にも耐えられる。リザードッグの攻撃くらいじゃビクともしないよ』

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ハンヴィーM34(中古)
防弾・対処理を施した軍用車両。
防弾性能はEN-B5で、AK-47やM16などの小口径ライフル銃やサブマシンガンの銃弾を防ぐだけでなく、地雷や手榴弾の爆風にも耐えられ、更にはタイヤが破損した際にも走行可能な設計となっている。
小型ながら積載量は400キログラムもあり、重機銃や対戦車ミサイルなどを取り付け可能である。

耐久性:400/400
積載:D
装甲:D
加速:C
速度:B
命中:-
静穏:D
視界:良好
乗員:4名

販売価格:150,000$
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「15万ドルか……結構するな」
『けど必要経費だよ。普通の車両じゃ、小型の生体兵器の攻撃にも耐えられないからね。それに現実世界なら30万ドルくらいしたっておかしくないんだよ?』
 防弾車には分厚い鉄板を前面に張り、重量増加のためにシャーシを交換する必要があるのだが、生体兵器の装甲を利用することでコストを抑えていた。戦車や装甲車のほうも同様で、大型生体兵器の装甲を貼り付けたり、生体砲を砲塔に取り付けたりしてコストを抑えている。

 かなり割安とはいえ、車といえばせいぜい3万ドルぐらいだと高をくくっていたタクムは、思わぬ出費に頭を悩ませる。

「例えばさ、まず普通の車を買って、倒した生体兵器の皮を剥いで、自分で取り付けたら安く仕上がらないか?」
『整備する工具は? マスターは車いじったことあるの? 確かに素材と車両持ち込みで整備工に頼めば多少は割安になるだろうけど、安全に生体兵器を狩るために危険を冒しにいくなんて本末転倒じゃない?』
「……仰る通りで」
 的確すぎるアイの指摘に、タクムはぐうの音も出ない。しかし、トラック如きに1500万円を支払うというのは、平和な日本の金銭感覚しか持たないタクムとっては大きいものだった。

 顎に手を当て考え込むタクム。戦車へ見せた購買意欲(しゅうちゃく)はどこへやらといったところで、アイなどは『諦めればいいのに……』と呆れている。

「仕方ないのかな……」
 タクムはそんな風に呟いた。



「おや、坊主。そいつ買うのかい?」
 タクムが振り返った先には、浅黒い肌の男が立っていた。オイルのついたツナギ姿。整備屋然とした人物であった。

「はい、その予定です」
「ひょっとすると開拓者かなんかかい?」
「ええ、そうですけど……」
「へぇ、若けぇのに大したもんだ。装甲トラックに手を出すなんざ、いい判断だ。数ある中からコイツを選ぶたぁ、目の付け所がシャープだぜ。気に入った。
 俺はワンダー、お前さんは?」
 ワンダーは軍手を取って握手を求めてくる。

「どうも、タクムと申します。喜んでもらっているところすいませんが、軍用トラックに目を付けたのは相棒のアドバイスに従ってるだけなんで」
「ほう、そりゃいい相棒を見つけたな。ところで坊主、本当は戦車が欲しいんじゃないか?
 戦車に圧倒されるタクムを見ていたのだろう、男はからかうようにニシシと笑った。

「いずれ、いずれ、絶対買ってみせます」
「なら、手を出せる価格なら買うのかい?」
 当然である。あの重厚な装甲を、あの圧倒的な攻撃力があればどれだけ安心できることか。それが得られるのならば、どれだけ金を積んでも惜しくはないとタクムは思っていた。

「じゃあ、お前さんでも手が届く、素敵な戦車があったら?」
「買います」
 即答するタクム。

「いいぜ、見せてやる。付いてきな」
 整備服の男は楽しげに笑って、販売所に隣接された整備工場へとタクムを誘う。

『マスター、マスター』
 ヴォーカロイド声のボリュームを潜めたアイが声をかける。

「ん、なんだ?」
『止めておこうよ、絶対にロクな話じゃないって。パチモンか不良品を掴まされるだけだよ』
 いくら価格破壊が起きているとはいえ、どんな戦車であっても最低2百万ドルはする。それこそ装甲車に負けるような小型で旧式の戦車であってもだ。
 それ以下となれば戦車に似せた何かか、致命的な欠陥を抱えているかのどちらかしかない。


「いやでもさ、見てみたいじゃん。俺でも買える戦車がどんなもんなのかって」
 見るだけ見るだけ、とタクムは取り合わない。

 主人の忠実な僕たるアイとしては、ここは絶対に止めなければならないところだが、同時にあまりにも楽しそうなタクムの姿を見てしまったため、言葉を継ぐことは難しかった。
 いざとなったら脅してでも止めよう、アイはひっそりと電子回路(メモリ)に記憶する。

 整備工場は鉄くずに支配されていた。古びた車両が山と積まれ、数え切れないほどの工具が並ぶ。天井からはワイヤーが吊り下げられ、工場の隅には生体兵器から剥ぎ取ったと思われる装甲などが乱雑に積まれている。

 鼻をつくオイルとシンナーの臭い。ただ、無機質な軍用車両が並ぶだけの味気ない駐車場店内よりは人情味があった。

 ワンダーは工場の中ほどまで移動すると、振り向いた。

 背後には青いビニールシートに覆われた戦車と思しき物体が山を作っている。

「坊主、見てろ。これが俺の戦車だ(・・・・・)!」

 ワンダーがシートを取り払うと、長い砲身を備えた戦車が姿を現す。

「すげぇ…………」

 タクムは目を輝かせ、あれ、と首を傾げた。袖口でごしごしと目を擦る。
 ワンダーと戦車との間を視線が行き来する。何故か彼の頭と砲塔、つまり車の天辺が並んでいた。誇らしげに掲げたはずの砲身は3メートルほどの長さしかなく、銃口の大きさもワンダーの腕よりも細かった。

 もしも砲身を取り除いたら全長は2メートル、全幅も1.5メートルを超えないであろう。非常に燃費のよさそうなコンパクトさであった。

「あ、あれ、なんか……」
『軽自動車みたい……』

「ああ、そうだ。これぞ我等ワンダー・タンク社が独自に開発を行った超小型多機能多脚戦車(マイクロマルチフルタンク)その名も<シーサーペント>だ」

 ワンダーは両手を広げながら実にいい笑顔でその戦車の名前を告げた。

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シーサーペント
ワンダー・タンク社の独自開発した多脚多機能戦車(マルチフルタンク)。

防弾性能はEN-B7。7.62mm徹甲弾にも耐えられるほどの装甲を持っている。
多脚戦車特有の高い地形踏破能力、四本の脚部に備えたローラによって時速90キロという高速移動を両立。さらに砲塔にはブローニングM2重機関銃とM40 106ミリ無反動砲を装備するという高火力性まで実現した奇跡の一台。

砲塔の後部から伸びた二本の高性能ワイヤーアームにより、危険物解体や工事現場での作業もこなすことが出来るだけでなく、小回りも利き、狭い道もスイスイ、縦列駐車も楽ちんに行える。リッター18キロという戦車にあるまじきコストパフォーマンスを持ち、さらに操縦席はリクライニングシートとなっており、乗り心地は抜群である。

これほどの機能を有しながら徹底した低コスト化により、販売価格は1台50万ドルにまで抑えられており、

しかし乗員は1名限りであるにも関わらず、通常の多脚多機能戦車(マルチフルタンク)と同等かそれ以上の細やかな操縦が必要となるため、習熟は困難を極め、もはや開発者本人にすらどうにもならないレベル。

耐久性:750/750
積載:D+
装甲:C-
加速:D
速度:C+
命中:-
静穏:C
視界:普通
乗員:1名

武装1 ブローニングM2
性能
殺傷力:C
貫通:C+
打撃:C
熱量:-
精度:B+
連射:800/min
整備:C
射程:1000m

武装2 M40 106ミリ無反動砲
性能
殺傷力:B
貫通:B
打撃:A
熱量:B
精度:C
連射:1/min
整備:D
射程:1500m

販売価格:500,000$
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「うわ、なにこの説明文……」
『しかもこれ、どちらかといえば自走砲だよね。戦車砲付いてないし』
「なあ、アイ。これ開発者でも乗りこなせないって書いてあるぞ」
『一人乗りじゃ、仕方ないよ。普通、戦車や自走砲っていうのは3人から4人で運用するものなんだよ。だって周囲を索敵しながら運転して迫撃砲で狙いを付けつつ機銃で弾幕張るなんて一人で出来ると思う?』
「そら無理だわ」
『ていうか、コレ、足四本に腕四本でタコみたいだね』
「名前、タコアシハポーンとかに変えたほうがいいんじゃないか」
『「アハハハハ」』
 同時に高笑いを上げる一人と一台(ふたり)。

「ひ、ひどい……乗ってもいないのに、ここまでコケにされたのは初めてだ……」
 ワンダーはその場に崩れ落ちる。

「ご、ごめん、ワンダーさん……悪気があったわ――」
『レーダ二本つけたらイカアシジュポーンになるかな』
「ぷっ……!?」
「くそっ! お前等最低だ!!」
 ワンダーは床を叩いて打ちひしがれる。いい歳した男が半泣きになって悔しがっている姿は実に滑稽であり、そのかたわらに立つちんまい戦車(ガラクタ)との構図はもののあはれさえ感じさせるのだった。


 しばらくしてワンダーは復活した。むしろ開き直ったというべきか、一見客であるタクム達に対してくだを巻き始めた。やれお前も他の客も見る目がねえ、やれこの流線型のボディの素晴らしさが分からないのかだの、終いには開発秘話などを零し始め、タクム達は一刻も早く帰りたいと思った。

『そもそもこんな自そ――戦車作ったんですか?』
「ああ、これなあぁ……元は軍の新兵器トライアル用に作った試作機だったんだよ」
 兵器開発局から配布される要求仕様書を元に、各社が開発を行い、厳しいトライアルを勝ち残ったものだけが正式採用となる。

 正式採用となれば毎年一定数が調達され、更に軍のお墨付きも貰ったともなれば民間からも注文が舞い込む。一攫千金を目論んだワンダーも物は長年温めてきたアイデアを形にした機体<シーサペント>をひっさげ参加したのだそうだ。

「要求仕様はこうだ。
 最悪1名以下でも戦闘機動が可能な戦闘車両か、強化服を開発せよ。
 一輌100万ドル未満で調達可能であること。
 30度以上の傾斜を踏破出来ること。
 EN-B7以上の装甲を持ち、整地での最高速度80キロ以上を出せること。
 大型生体兵器でも一撃で殲滅可能な火力を有すること

 まあだいたい、こんなところだ。

 俺は強化服は作っちゃいねえ。だから戦闘車両、戦車を作ることにした。
 一輌はコストを抑えに抑えて50万ドルで提供することに成功した。
 操作性以外については要求仕様を満たしてやった。

 だったらいいじゃねえか。1台くらい買ってくれよ!」

「一人じゃ操縦できないのに、一人用の戦闘車両なんか作るからだよ」
 熱くなるワンダーに対して、タクムは冷めた口調で言う。そろそろ立っているのが辛くなってきたのだ。だからと言って座れば、ますます帰りづらくなる。

「違うぞ、タクム。この戦車は一人でも運用可能だ。
 コイツが落とされた理由はまず、操作性が悪いことだった。走りながら撃てねえ。狙いながら走れねえ。
 お前は走りながら鉄砲撃つか? 本当に当てたいなら止まってから撃たねえか?

 そもそもの前提が違ってるんだ。
 運転するときは運転だけ。攻撃する時は攻撃だけすればいいだけの話だろう?

 まず、コイツは強化服とは比べ物にならんくらいに頑丈だ。小型生体兵器(クリーチャ)に囲まれたぐらいじゃビクともしねえ。重機銃を掃射して一気に片付く。

 中型や大型だってこの106ミリ無反動砲(バズーカ)なら沈められる。

 不意を撃てば問題ない。待ち伏せて、狙い撃てば一発だ。
 多脚戦車だからどんなに険しい斜面だって出来るし、小せえからどんなところにでも身を隠せる。手元のワイヤーアームを使えば、穴を掘って身を隠すことが出来る。隠蔽は完璧

 何よりコイツは足が速え。戦車で100キロなんてまず有り得ねえ。強化服だって重装備すれば80キロが限界だ。ひたすら逃げの一手を打てば必ず逃げ切れるように作ってある。

 みんな一緒にやろうってするからダメんなるんだ。ひとつひとつの操作は他の車と変わらねえ。
 やるべきことをひとつひとつこなしていけば必ず戦果は上げることが出来る

 なあ、タクム。戦闘機動なんて本当に必要なんか?
 走りながら鉄砲撃てなきゃダメなんか?
 弱い奴にわざと囲まれて一気に殺しちゃダメなんか?
 完璧に身を隠して、敵を待ち伏せするんじゃダメなんか?
 敵わない、危ないと思ったら尻尾を巻いて逃げるんじゃダメなんか?」

 ワンダーの話は長く、要領を得なかったが、言いたいことだけは伝わった。

 走りながら撃って当てられるのは、本当に一部の達人だけだ。
 強大な敵に立ち向かうのに、真正面から正々堂々挑み掛かるなんて馬鹿のすることだ。
 戦場で負けそうなのに逃げないことは、勇気じゃなく無謀というんじゃないのか。

 多分、彼はそう言いたいのだろう。
 タクムにも何となく、彼の悔しさの一部が分かった。

 だから一度でいいから使ってみてくれ、そう言いたいのだ。
 戦車とも装甲車とも強化服とも違う、全く新しい戦術が必要になる。戦う、隠れる、逃げる、この三つの戦術のうち一つだけを選び出し、徹底的に突き詰めた代物なのだ。

 このマイクロ戦車は先進的(ピーキー)過ぎる。多分、軍では受け入れられないだろう。

「で、買うのか? ローンで買うのか!? 一括で買うのか!? いったいどっちなんだ!?」
 しばらくして復活したワンダーに尋ねられる。

「買わねえよ! こんなポンコツ!」

「くそ、いけると思ったのに。つーか、お前、ホント容赦ないな、びっくりするわ……」
「せめて乗員二名にしてみたらどうだ? 操縦手と砲手が居ることが前提で運用させれば軍も受け入れやすいと思うんだ」
 そうなれば逃げながら攻撃する、機動防御が可能となる。豆戦車や豆戦闘車といった感じの運用が可能になるはずだ。

「話変えやがった……。無理だ。正直、乗員一名で限界なんだよ。もう一人分の体重と座席を用意すると30キロは速度が落ちる。装甲で帳尻を合わせれば今度は耐久値で要求を満たせない。火力を削れば小型生体兵器にも苦労するようになるし、エンジンや内装を丸ごといじったらコストは今の倍は掛かる」
「幾らなんでも要求が厳しすぎやしないか? そのトライアル、合格したのあるのか?」
「今んところは合格はない。が、要求が厳しいのは当然だ。何せ、軍がわざわざお墨付きを与えるってんだからちょっとやそっとじゃ納得しねえ」
「そうか……あとちょっとなのに勿体無い話だな」
「じゃあ買えよ! 買ってくれよ! ニコニコ現金払いでな!」
「やなこった!」
 再び迫ってくるワンダー。タクムはきっぱりと拒否する。ノーといえる日本人である。

『マスター、ちょっと待って。買うんじゃなくて、貰うっていうのはどうかな?』
「アイ、ちょっと待て。いくらこれが使えないからって、いくらなんでも言いすぎだぞ。失礼だ」
「お前が言うな!」
『そうじゃなくて、要はその自走砲――』
「マイクロ戦車だ!」
『その戦車が一人でも運用できるんだって証明すればいいんでしょう? 適した戦術がないのなら、それを作ってしまえばいいじゃない』
 自信満々にアイが言う。

「なんだ、そのアントワネットな発言?」
『マスターはちょっと黙ってて』
 タクムが軽く引いていると、ケータイの中の従者が返す。

『ワンダーさん、もしもマスターにその戦車を贈与してくれたら、マスターはそれを使って戦闘するよ。
 マスターがマイクロ戦車を使えば、マスターは新しい戦術を編み出し、経験は積み上げられて、それはどんどんと練磨されていく。
 ボクはその都度、戦闘記録を残す。その中で有効だった戦術を抽出して、体系化する。分析データと共にワンダーさんに送る。
 ワンダーさんは蓄積したデータを使って戦車を改良しつつ、信頼性を高めていく。ついでに整備マニュアルも残しておくといいんじゃないかな。
 その実績をひっさげて次回のトライアルに持っていけば、頭の固い軍の人達だって今度は納得してくれるんじゃないかな。依頼をしてくれるならその場で実演してみせてもいいよ』
「なるほど、テストドライバーをタダでやるから、機体を寄越せってことか?」
『そう。残念ながら50万ドルもの大金は持ってないからね。ボク達に提供できるのは命がけで手に入れた実戦データしかないよ。
 どう? ボク達に賭けてみない? このまま何もしなかったら、この子、倉庫に眠るか廃棄するしかないんじゃない?』

 ワンダーは目を瞑り、大きく息を吐いた。

「…………分かった、持ってけ。代わりに、アイ、お前さんは必ずデータを俺に渡してくれ。タクムは使っていて不満な所があったらすぐに教えてくれ。容赦はすんなよ。
 あと一度街から出たら必ず見せに来てくれ。被弾はなくてもだ。安心しな、修理代は取らねえでやるよ」
『ありがとう、約束するよ。』
「ああ、任とけ、揚げ足取るのは得意中の得意だ」
「自慢になんねえよ。ほら、コイツのキーだ。頼んだぞ、俺はコイツに整備屋人生を賭けてるんだからな」

 投げ渡されたカギを受け取り、タクム達は<シーサペント>に乗り込むのだった。


N0771E-28
asdsz
第一部 4.復讐のとき−7

 ゴーティスの体は毛布の中で温かく保たれていて、久しぶりに熟睡をしたような妙な爽快感があった。青白い光が窓から室内に細く差し込み、別の方角には黄色い灯火らしき光が見える。今がはたして夜明けなのか、日暮れなのか、目覚めたばかりのゴーティスには判断がつかない。
 おもむろに頭を上げようとして、ゴーティスは、予想外に自分の頭が重いことに気づいた。
「なに……?」
 毛布から手を出し、ゴ−ティスは後頭部に手をそっとあててみる。
「王?」
 沈黙していた空間から女の声が聞こえ、ゴーティスは咄嗟に全身を硬くした。毛布の中で、それまでの仰向けから横向きに姿勢を変え、声の聞こえた方向に問い返す。
「誰だ?」
「おお、気がつかれましたか、王……!」
 目の前に現れた女はジェニーの侍女だった。心底嬉しそうに顔を輝かせ、ゴーティスを見つめている。
「おまえは、たしか……ジェニーの?」
「はい! ご無事で何よりでございます、王! ご気分はいかがです?」
「気分……」
 ゴーティスは手を額に当て、ぼんやりと質問の意味を考えた。そして、自分の全身が痙攣して動けずにいた状況をすぐに思い出す。床の上で眠りに落ちてしまって以降、記憶がない。
 彼が考えている間に彼女は他にも控えていた者を呼んだらしく、寝台横には医務服を着た男が駆けつけた。ゴーティスの侍医ではないが、いつも侍医の側にくっついている男だ。
「……おまえは? 侍医はどこだ?」
 ゴーティスが尋ねると、男がちょっと困ったように女と顔を見合わせ、申し訳なさそうにバーバリー ブレザー
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り出した。
「それが……あいにく、何らかの中毒と思われる症状により、床に伏せっている状態でございまして。未熟者ながら、急遽、私が王の処方をさせていただいた次第でございます」
 突然にゴーティスの身を襲った異変は、どうやら他の者たちの間でも蔓延しているらしい。ゴーティスが男の説明に無反応だったせいか、彼がゴーティスの機嫌をうかがうように、おそるおそる尋ねた。
「王、ご気分はいかがでしょう? どこか痛むところはございませんか?」
 喉が渇き、体全体は何となく重かったが、痛む部分はない。そう答えようとして、何気なくアリエルを見たゴーティスは、急に胸を両手で締めつけられた気分に襲われた。彼女は彼に飲ませるための水を用意して待っていて、その姿が、彼が眠りに落ちる前に見たジェニーの姿に重なったのだ。彼女がゴーティスにとった行動に対する不可解さは怒りの感情を呼び覚まし、お互いに絡まりあって、ゴーティスの腹を不快に重くしていく。
「痛むところはない。――ジェニーはどうした?」
 ゴーティスが起き上がろうとすると、アリエルが慌ててそれを止め、答えた。
「ジェニー様はご無事でございます。今は別室で休まれておりますが――」
「無事なことは知っておる。どこにおるのだ? 即刻、連れてこい」
「王、ジェニー様はずっと他の方々の介抱をされ続け、相当お疲れのご様子で――」
「それが何だ? それが俺に対する何の言い訳になる? 俺が呼べと言うのだ、即刻、あやつをここへ連れてこい!」
「はい!」
 アリエルが膝を曲げてお辞儀をし、ゴーティスに背を向けた。興奮したせいで、ゴーティスの全身がさらに重く感じる。不愉快な感情が見えない重りとなって体にまとわりついていた。
「いや、待て」
 ゴーティスは寝台の上に起き上がり、去りかけたアリエルを止めた。彼女が振り返り、立ち上がろうとする彼を見て心配そうな表情に変わる。ゴーティスの体には安定した感がなかったが、床についた足はふらつかなかった。
「俺が直接に向かった方が早い。部屋に案内しろ」
「王、まだそのような無理をなさっては――」その助手の男の言葉は、ゴーティスが睨みつけると途中で消えた。
 ゴーティスが部屋を突っ切ってテーブルの上にあった剣を鞘から引き抜くと、二人はぎょっとして目を見開いた。そして、その驚きはすぐに恐怖に取って代わる。ゴーティスはその場に凍りついたように立ち尽くすアリエルに向かい、再び告げた。
「ジェニーの元へ案内しろ」
「……はい!」

 扉の外にいた近衛兵も、ジェニーの部屋の前にいた近衛兵も、ゴーティスが手に持つ剣に気づくと、一様に怯えと焦りの表情を見せた。近衛兵がよけた扉の前で、アリエルが扉の取っ手をつかもうと手を伸ばす。
「おまえはさがれ」
 先に部屋に入ろうとしていたアリエルを止め、ゴーティスは彼女に扉の前からどくようにと顎でしゃくった。だが彼女は移動せず、遠慮がちな態度で彼に言う。
「王、せめてジェニー様をお起こしするまでは、私にご一緒させては……いただけませんか?」
 ゴーティスは眉をひそめ、彼女を見た。彼の神経が高ぶっている様子に気づいた者は誰もが彼のやることに口を挟まないというのに、彼女は彼の行為を途中で阻もうとする。まるで、彼女の主人ジェニーのように。
 ジェニーへの新たな苛立ちが沸き起こり、ゴーティスは静かに剣先を上げた。
「さがれ」
 ゴーティスが剣の先をアリエルの首に突きつけると、彼女は口をつぐみ、沈んだ表情に変わった。
「俺がよいと言うまで部屋に誰も入れるな。よいな?」
 ゴーティスに睨まれた近衛兵は姿勢を正し、大きく返事をした。それを聞いてから、彼はジェニーの眠る部屋へと静かに入る。

 扉が閉まったとたん、ゴーティスは暗がりの中で何かが動く気配を感じ取った。
 部屋にはジェニーだけしかいないはずだ。
 そう知る彼は、裸足の足が床で音をたてないように注意しながら、警戒を強めて中央の寝台へと近づいていった。天蓋からのカーテンが開いており、寝台の横にまわったゴーティスに、その上で膝を抱えて座るジェニーの姿が見えた。膝を抱える腕には包帯が巻かれていて、もう片方の手は首の後ろに置かれている。そのジェニーの膝の上で、彼女の頭が前後に揺れているのがわかった。
 ゴーティスが動かずにいると、ほんの数秒後、ジェニーが顔を上げた。両手で顔を覆うような仕草をし、それから、不意に注意を引かれたようにゴーティスの方に振り向いた。目が腫れているようだったが、泣いていたわけではなさそうだ。そして、その顔は、今、起きたばかりのようではない。
 虚をつかれたように、ジェニーがその場で全ての動きを止めた。ゴーティスは彼女を視線でからめとり、目をそらさなかった。ジェニーも、おそらくは彼女の意思で、視線をそらそうとはしなかった。ゴーティスは、ジェニーがどういった行動をとるかを見極めようとした。二人はしばらく、微動だにしなかった。
 やがて、ジェニーの方が重苦しい沈黙に負け、喉の奥から搾り出したような声を漏らした。
「……助かったのね」
 泣くのを堪えたような顔つきだったが、それは決して、ゴーティスの無事を喜んでいる形相ではない。彼女はゴーティスから視線をそらし、もっと大きな息をついて天井の方を見上げた。
「生憎だったな」
 低い声でゴーティスがそう言うと、ジェニーは肩を揺らし、再び俯いた。
「――おまえのおかげで俺は命拾いをしたのであろう。俺は、おまえに礼を言うべきか?
 すると、ジェニーが激しい怒りともいえる表情を彼に向け、何かを言おうと口を開いた。だが、彼女は肩で息をして口を何度も動かすばかりで、言葉は音となって外に出てこない。
 ゴーティスがついに彼女に近寄っていくと、ジェニーがはっとして寝台の上に立ち上がった。いつもの彼なら逃げようとする彼女に瞬時に飛びついて捕らえることもできただろうが、今のゴーティスにそんな反射神経はなかった。彼の伸ばした手から、ジェニーはやすやすと逃げ出した。
「無駄な抵抗はやめろ、ジェニー! この部屋から外には出られぬぞ!」
 怒鳴ると、ゴーティスの後頭部にきりきりとした痛みが走る。
「そうだとしても……そんな簡単に、殺されるわけにはいかないわ」
 ジェニーが視線を左側に寄せ、ゴーティスは自分の右手にある剣を見た。
「なるほど、おまえを殺すのはたしかに、そう簡単ではあるまい。だが、その前に――おまえに尋ねたいことがある。こちらへ来い、ジェニー!」
 ジェニーは部屋の奥で立ち止まり、左右のどちらに行こうかとゴーティスの出方をうかがっているようだった。
「何か知らないけど……訊きたいなら、今、そこで言ったらいいわ」
「は――何だと?」
 後頭部の痛みは、怒りの熱と入れ代わる。
 ゴーティスが右足に体重をかけると同時に、ジェニーが彼の左側に走りだした。ゴーティスの反応は遅れたが、部屋が狭かったことが彼に幸いした。必死に伸ばして飛びついた彼の手は、ジェニーのドレスの腰付近をやっとのことでつかみ取る。そして、体勢をくずした彼女とゴーティスはもつれるようにして床に転がった。

 ゴーティスは通常時よりも自分の体をうまく庇えず、ジェニーの服の一部を握った状態で脇腹を床で強打した。とはいえ、二人が転倒したのは厚い敷物の上で、直接に石の床に接触した場合の衝撃には及ばないだろう。ただ、ゴーティスを襲った痛みは思いがけず強く、痛みが鋭い痺れと変わって全身に拡散し、数秒間、彼は口がきけなかった。おそらく、内出血している。
 ゴーティスがぼんやりする頭を振り動かして右手を見ると、手の中には剣がまだ残っていて、刃の先は宙を向いていた。一緒に倒れたジェニーはというと、彼女は既に床に手をついて起き上がろうとしている。
「――逃すか!」
 右手の剣が空を切り、立とうとしているジェニーの服の裾に突き立てられた。彼女が短く叫び、後ろに引っぱられそうになって危うく、前のめりで膝をつく。体勢を何とか保ったジェニーが焦った顔で振り返った。ゴーティスの視線と彼女のそれとが激しく牽制し合う。
 ジェニーが再び立ち上がろうとし、彼女の服の裾を押さえる剣先が飛び跳ねて動いた。ゴーティスはそれを必死に押しとどめつつ、左肘を床について身を起こそうとしながら、彼女を見た。彼女が服の裾を無理に引っぱり出そうとしており、彼の剣先がいっそう大きく揺れる。ゴーティスはそれを取られまいと剣を押さえる手に力をこめたが、それからほんの一秒もしないうちにいきなり、剣から彼の手に伝わる振動がなくなった。
「ジェニー!」
 ゴーティスの隣から立ち上がった彼女は振り返りもせず、彼の剣先の下にはドレスの薄い生地の切れ端だけが残る。ゴーティスの口からはかすれた声しか出なくて、彼女を捕らえようとした手は空気を掴んだ。
「おのれ、小癪な……!」
 ジェニーは入口の方へと走っていっている。ゴーティスはすぐさま立ち上がり、床を蹴ってジェニーを追った。体と頭が分離し、体だけが床に取り残されたかのような不安定さだ。後頭部から首にかけて不快な痛みを感じていたが、構わず、彼は走った。

 やがて、歩幅と手の届く長さで彼女に勝るゴーティスは、彼女が逃げる方向を左に直角に変えたところで、彼女の手首を掴むことについに成功した。
「きゃっ……!」
 ジェニーの腕を力任せに引き寄せると、彼女の体は弧を描いて軽々と飛び、ゴーティスの胸にぶつかって止まった。
「放して!」
「おお、放してやろうぞ! 俺がおまえの首をはねた後でな!」
 ジェニーが口を結んで彼をにらみ返し、彼の手にある剣に視線をちらりと走らせた。
「俺の命を狙った者は誰であろうと、それがたとえ未遂に終わろうとも、全て死罪と決まっておる! おまえがそれを知らぬとは言わせぬぞ!」
「もちろん知ってるわ!」
 ジェニーが怒鳴り返し、なおもゴーティスを強い眼差しでにらみ返した。ゴーティスは彼女の手首をねじりあげ、近づいた彼女の顔面すれすれのところでその反抗的な瞳を見返した。彼女の手首に波打つ鼓動がゴーティス自身のものと思えるほどに、はっきりと感じられる。
 ――ところがほどなく、ジェニーの目からそれまでの眼力が消え、そうかと思うと、ジェニーの唇が微かに震え、その両目が涙でにじみ始めた。
「……ほほう? さすがのおまえも、死を目前にして怖くなったか?」
「違うわ、怖いんじゃない」
 ゴーティスはむっとし、ジェニーの瞳を覗きこんだ。彼女は反抗するかのように潤んだ瞳で彼をにらみ返したが、すぐに彼から瞳をそらした。
「ふん、口では何とでも言えよう? 今更、強情なおまえが俺に命乞いをするとも思えぬ。否、されたとしても、俺はそれをきく気はない。全てはもう遅い、ジェニー!」
 ゴーティスの言葉が終わらないうちに、堪えきれないというように、ジェニーの瞳から涙が流れ落ち、頬を伝っていった。そして、ジェニーの口から嗚咽に似た音が漏れる。
「もう、遅い――」
「何を今さら!」
 ゴーティスは苛立って怒鳴り、ジェニーの肩をぐいっと引き寄せて彼女の鼻先に口を近づけ、声を低くして言った。
「俺はおまえのように躊躇などせぬぞ? 俺自らの剣で裁かれることを最後の誉れとして、死にゆくがいい」
 だが、ジェニーは両手で必死にゴーティスの胸を押し、そこから逃れようと左右に身をよじる。
「悪あがきはよせ! 全ては、おまえがあの絶好の機会に無用な躊躇をし、俺を殺し損ねたが所以(ゆえん)だ! いさぎよく、腹を決めぬか!」
 ゴーティスから顔をそむけたジェニーの頬が涙で濡れて光っていた。ジェニーが肩で大きく息をし、なおもゴーティスの腕から逃れようともがく。ゴーティスはかっとして怒鳴った。
「今さら後悔したとて遅い!」
「ええ、遅いわよ! よくわかってるわ!」
 振り返って怒鳴ったジェニーの顔は、頬全体が涙で濡れていた。
「私がどんなに後悔しているか! あの時、あなたを剣で突かなかったことをどれほど後悔しているか……!」
「ならば、何ゆえにそうしなかった! おまえが俺を倒せる機会などそうそうないというに、あの絶好の機をおまえが自ら逃すなど――ましてや、俺を助けようなど! おまえに何らかの意図があるとしか思えぬ! 俺に恩でも売りたかったのか? それとも、俺の命を救うことで周囲を味方につけ、逃亡の手引きでもさせるつもりだったか! 何の意図があって俺に手をかけなかった!?」
 ジェニーは顔を左右に激しく振りながら答えた。
「意図なんかない! 私はただ、できなかったのよ!」
「は、よもや、俺の哀れな姿に同情したと言うのではあるまいな? それこそ笑止! あの時のおまえには殺気があった、俺はそれをよう知っておるぞ! おまえの待ち望んだ復讐の機会を逃してまで俺を斬らず、命を救ったことに、何の意図もないなどと――」
「私はできなかったの!」
 ジェニーが唇をゴーティスに近づけて叫び返し、その両目からは大粒の涙がこぼれ落ちた。
「あなたが私にしてきたことを思えば、あなたが王であろうが何であろうが、私は本当に刺すつもりだった! ひとおもいに殺したかった! だけど、できなかった! 私があなたに剣を向ける機会なんて、この先に二度とないかもしれないのに! 私はずっとあなたの命を狙ってきたのに……!」
「では、何ゆえ!」
 ゴーティスは彼女の胸ぐらをつかんで挑発するように揺さぶった。ジェニーは唇を激しく震わせて泣きながらも彼の視線から目をそらすことはなく、それが彼をますます腹立たせる。
 ジェニーが一際大きくしゃくりあげ、辛そうに息を大きく吐いた後に言った。
「……私は……私は、そこに苦しんで倒れている人を見て――それがあなたでも――抵抗できない状況につけこんで手をくだすような卑怯な真似は、私には……私は、どうしてもできなかったのよ!」
 後悔してもしきれない、とジェニーが涙と嗚咽で声を詰まらせた。
「それを――俺に信じろというのか!」
 見え透いた言い訳を、と彼女の震える肩を見ながら、ゴーティスには怒りと深い失望感が生まれてきていた。
 どこの誰が、憎き仇が目の前に倒れていながら、一度突きつけた剣を納めようとするのか。勝ち戦を自ら放棄しようなど、背後に何らかの策略がある以外に考えられない。もしそこに策略がないのなら、その者はただ、愚かなだけだ。 
 彼は、苦々しい思いで目の前の彼女を見つめた。不快な鈍痛がゴーティスの頭の半分ほどを蝕んでいる。
 彼女は、昨夜以来ずっと“本気で”泣いているらしい。この部屋でゴーティスが最初に見たときからジェニーの目は腫れてはいたが、その泣きようでは目の腫れはさらにひどくなりそうだ。
 ――急に、ゴーティスは、そこで泣いているのは彼女でなく自分なのだという不思議な錯覚に陥った。ゴーティスは、即位する直前に母親を断罪しなければならない状況に陥って、彼女を斬首刑にした夜、独りで部屋にこもって泣き明かしたことを不意に思い出した。彼と母親は良好な関係にあったとは言い難いが、それでも、胸がえぐられ、吐き気までもよおす苦い思い出だ。
 ここ数年間に一瞬でも、あの夜の事が頭をよぎったことは一度もないというのに。
 ゴーティスは無意識に手の力をゆるめたらしく、それによって体を支えられていたらしいジェニーの体が彼の足元に滑り落ちていった。だが、彼の手から自由になっても彼女は顔を手で押さえて泣くばかりで、床から立ち上がろうともしない。
 愚かな彼女は、昨夜からずっと、泣いている。

 ゴーティスが床にひざまずき、泣いているジェニーの顎をその手でとらえると、彼女の瞳に動揺が走った。
「おまえは――優れた兵士にはなれぬな」
 ゴーティスがそう呟くと、彼女が困惑したように見返した。
「……兵士になどならないわ」
 ゴーティスが小さく頷くと、彼女が怪訝そうに彼を見つめた。
「俺への復讐も無理だ」
 ジェニーはそれには答えず、ただ口惜しそうにゴーティスに泣き腫らした目を向ける。
「昨日のような機会は二度とない。俺への復讐はあきらめろ」
 ジェニーが何かを言おうとしたが、それより先にゴーティスの手が彼女の顎から頬に動き、彼女の体はびくりと震えた。
「その代わり――」ゴーティスが膝を少し寄せると、ジェニーが必死の形相で彼を見上げた。ゴーティスは彼女に顔を近づけ、その瞳を捕らえた。
「――その代わり、ジェニー、俺を愛するがいい」
 ジェニーの顔に混乱が広がり、ゴーティスはそれまでずっと右手に保持していた剣を床の上に置いた。
「俺を愛せ」
 ゴーティスが両手でジェニーの頬を挟むと、彼女が大きく瞳を見開いた。
「何を……言ってるの? 私はあなたを憎んでるのに、そんなこと――そんなこと、できるわけがないじゃない……?」
 ジェニーの瞳が揺れている。
「……憎しみを持てる者は愛情も深いという。俺を愛せ、ジェニー」
 ジェニーが、彼の言葉に弾かれたように叫んだ。
「嫌よ! そんなの、命令されることじゃない!」
 その返答で、ゴーティスは、彼女が彼女自身の正義を貫いたために彼を殺さなかったという彼女の一連の言葉が、全て真実だったのだと瞬時に悟った。愚かなほどに真っ向な人間がまだ存在していると知り、胸に押し迫ってきた熱い想いで、ゴーティスは胸が貫かれる。
「ゴーティス王、私は――」
「それでも、愛せ」 
 ゴーティスがジェニーの首に手をずらすと、殺されるとでも思ったのか、彼女が観念したように目を閉じた。その閉ざされた瞼の上にゴーティスが唇を押しつけると、唇ごしにジェニーの肌の熱が伝わってくる。この感触を失いたくない、と気づく。
 彼女の揺らすまつ毛が唇に触れる微かな感触があり、ゴーティスは、後頭部の頭痛が嘘のようにひいていくのを感じた。片手をジェニーの首の後ろに伸ばして抱き寄せると、彼女の身がゴーティスの腕の中で、固く縮んだ。
「俺は――おまえを愛せるように思う」

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长螀猡い稳诵巍抗媳疚铯坤瑁 ·沥绀盲葘g践してみますね。僕の毛をここに入れて、くいっと腕を曲げるとおお! 腕が勝手に動くぅ。足を動かすと足が、っとっとっとうわああ!」

 などと、どこから出したのかわからん毛を入れて芸を見せながらバランスを崩して女子に突っこんでいく男の子やら。あ、抱きつこうとしてビンタされた。でもなんか嬉しそう。

「さぁ、ここで掘り出し物の登場だ! お父さん必見。年頃の男の子のベッドの下に隠されたワンダーランドをごらんあれ」

 などと、兄のでもかっぱらってきたのか教育上不適切なものを売ろうとしているカカやら。

 ……ん? カカ?

 HAHAHA!

 兄って僕のことやん?

 さあ走り出そう。

 一時でいい、カモシカとなれ我が脚よ。

 神器たる武器、バナナもて。
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 我が敵を討ち滅ぼさんために。
 

カカの天下9「架空請求の遊び方」

「のうのうトメさんや。飯はまだかいの?」

 まだですよ、ってな感じなトメです。って、あれ?

「へぇ、すごいな」

 僕が驚いたのは妹、カカの声だ。セリフはいつものやりとりだから特に面白みはないけど、声が妙にハスキーになってる。低い声だと、本当におばあちゃんの声に聞こえるのだ。

「とうとう声にまで芸が伸びだか。成長したな、兄は嬉しいぞ」

「へへー」

 得意げに笑う声も程良くかれて……ん? 

「もしかしておまえ、風邪ひいてるだけか?」

「みたい」

「おいおい、それ早く言えよ。薬飲んだのか?」

「うん。おかしいのは喉だけだから寝てなくても」

「寝てなさい」

 有無を言わさず押さえつけようとした

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工搿?
いや、それしか出来ないというのが正しい。

「い、嫌?」
「い、いえ???、別に???、嫌だ何て???。」

「だ、だったら、そう約束してくれる?」
「わ、分かりました???。」
「美由紀さんって呼ばないでね???。」
「??????。」
そう言われると、自信が無い源次郎である。


(つづく)



第2話 夢は屯(たむろ)する (その972)

「美由紀さん」。
源次郎は、最初からそう呼んでいた。
他の呼び方をしたことは一度も無い。

ひとつには、「佐崎美由紀」として出会ったからだ。
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ストリッパーだと支配人から聞かされた。
今回の舞台の主役であることも分かった。
おまけに、その佐崎美由紀の付き人のような仕事を割り振られたのだ。

「どのようにお呼びすれば?」。
そう訊いた。
確か、出会った初日である。

「好きなように呼んで。」
確か、美由紀もそう答えてきた。
で、その時から「美由紀さん」と呼ぶことになった。
そして、それ以来、その呼び方を通してきた。
今では、それが源次郎の中でも完全に定着していた。

今、美由紀が提示してきた「美貴」という名前は、どうやら戸籍上の名前らしい。
言わば、本名である。
実家だというあの寿司屋では、確かにそう呼ばれていた。
オヤジさんがそう呼んだ記憶はないが、おばちゃんは常に美由紀のことを「美貴」と呼んでいた。
しかも、何度もだ。
第一、店の名前も「美貴鮨」である。

美由紀は、その本名である「美貴」と呼べと言っているのだ。
つまりは、佐崎美由紀ではなく、山田美貴として源次郎に接していたい。
そう言っているのだ。
その証拠に、明日、札幌

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第二十三話 異形その十二

「十二魔神の一人か」
「如何にも。我は逆さ男」 
 自分から名乗ってみせたのであった。
「これが我の名だ」
「逆さ男は」
「今は姿を見せることはない」
 彼は牧村に対して言ってきたのであった。
「我の真の姿はな」
「俺と闘う時になればか」
「その時まで見せることはない。安心するのだ」
 こう彼に告げるのであった。

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「それはな」
「わかった。では今はいい」
 牧村も彼の言葉を受けて述べた。
「貴様の姿を見なくともな」
「だが。髑髏天使には今日倒れてもらう」
 その巨大な身体から牧村を見下ろしての言葉であった。やはり途方もない巨大さであった。それは同じ魔神であるあの氷の神ウェンティゴ以上のもであった。
「この日にな」
「魔物をもう連れて来ているのか」
「その通りだ」
 まさにそうだというのであった。
「用意はいいか。戦いの」
「だからこそ今ここにいる」
「私もだ」
 死神もまたここで言ってみせたのであった。
「それだけだ」
「答えはこれで充分か」
「そうだな。それだけでいい」
 黒人も二人の言葉を聞いて述べた。コーチ バッグ メンズ
「では。行くとするか」
「今回の場所は何処だ」
「私としては何処でもいいがな」
「それは私が見つけておきました」
 老人が笑みと共に二人と黒人に対して言ってきたのだった。
「既に。ですから御安心下さい」10
「そうか。貴様がか」
「もう見つけてあるというのか」
「私もまた魔物を用意しておきましたので」
 それと共にこうも言ってきたのであった。
「是非。楽しんで下さい」
「わかった。ではまずは行こう」
「その場所にな」
「こちらです」
 言うと身体を左にやってそのうえで向かう。そこは目の前のビルであった。
 その入り口に入って行く。黒人もそれを見て言うのであった。
「この高い塔の上が戦いの場か」
「ここはビルという」
「そのことは言っておこう」
 牧村と死神が今声をあげた男に対して告げた。
「どのみち暫く今のこの日本にいるのだからな」
「覚えておいて損は無い筈だ」
「そうか。ビルというのか」
 実際にビルに顔を向けて声を漏らす男であった。
「ここがそうなのだな」
「では入るとするか」
「そして上に向かおう」
「我も行くとしよう」
 言いながらそれぞれビルに入ろうとする。三者は互いに隣り合った。しかしここで黒人はその二人に対してこう言ってきたのであった。
「今は戦わない」
「今はか」
「貴様自身はだな」
「安心しろ。魔物も連れて来ているがここでは戦わない」
 こう二人に言うのである。
「ここではな」
「戦うのは戦場でか」
「今はビルの上でということだな」
「その通りだ。魔物は決められた場所でしか戦わない」
 黒人の言葉は強いものであった。微動だにしないまでに。

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第五話 襲来その二

「それが俺の宿命なのだからな」
「いい心掛けだね。それじゃあ」
 男の顔が変わっていく。顔中に黒い羽毛が生え口が尖っていく。目もそれと共に黒く大きいものとなる。そして背中から黒い大きな翼が生えたのだった。それはまさに烏のものだった。
「遊ぼうか」
「望むところだ」
 牧村は彼を見上げつつ両手を拳にした。そしてそれを己の胸の前で打ち合わせた。そこから光が発し全身を包んでいく。その光が消えた時彼は白銀の鎧を身に纏う髑髏天使となっていたのだった。
「行くぞ」
 右手を一旦開きそのうえで握り締める。それが合図であった。
 闘いが幕を開けた。最初に動いたのは烏男だった。彼は翼を大きく動かしてきた。
「それじゃあ行くけれど」
「むっ!?」
「多分僕の闘い方は君が今まで知らないものだろうね」
「俺が。知らないだと」
「そうだよ。ほら」
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 ここで羽ばたき空に舞いだした。
「今までこういうことをしてきた相手はいたかな」
「正直に答えようか」
「うん、是非共」
「御前の言う通りだ」
 本当に正直に答えてみせた。ここでは隠しても何の意味もないと判断したからである。
「御前がはじめてだ。空を飛んだ相手はな」
「それはどうも」
「考えてみればそれも道理だ」
 髑髏天使の言葉はそのような相手を前にしても冷静沈着なままであった。
「何しろ魔物だ」
「それはわかってくれていると思うけれど」
「魔物だ。だからこそだ」
 指摘されたがそれでも言う髑髏天使だった。
「どんな奴がいてもおかしくはない。水の中を自在に動ける奴もいたしな」
「それが僕なんだけれどね」
 嘴の両端が歪んでいた。笑っている証拠である。
「他にも色々といるけれどね、そういう仲間は」
「そうだろうな。空を飛ぶ相手か」
「僕が最初で最後の相手になるよ」
「色々といるというのにか?」
「そうだよ。だって」
 周りに烏達を従え空を舞っている。髑髏天使を悠然と見下ろしつつの言葉である。
「君は。僕に倒されるからね」
「大した自信だな」
「自分をよくわかっているんだよ」
 やはり相当な自信家であった。それを隠そうともしない。
「よくね」
「では今ここで俺を倒すというのか」
「当然そのつもりさ。じゃあ」
 翼の羽ばたきが余計に増した。
「行くよ、まずは」
「来るか」
 翼に手をやり何かを取って来た。見ればそれは漆黒の羽根であった。烏の羽根である。
 それを数枚手に取っている。顔の前に笑いつつやりそうして。髑髏天使に向けて投げてきたのであった。
「さあ、小手調べだよ」
 羽根を放ったうえで髑髏天使に声をかけてきた。
「これは避けられるかな。身のこなしは相当なものだって聞いているけれどね」
「それも知っているのか」
「教えてくれる仲間がいるんだ」
 烏の目が細まっている。今度は目で笑っていた。
「仲間って言うには随分と偉い方だけれどね」
「偉いだと」
「ああ、このことについて答えるつもりはないからね」
 今の髑髏天使の言葉には答える素振りは見せなかった。
「悪いけれどこちらにも事情があるんだよ」
「貴様の事情は俺にはどうでもいいものだがな」
「話がわかるね。じゃあ」
 あらためて彼に声をかけてきた。
「この黒い羽根。どうやって避けるの?」
「避けるか」
「そうだよ。言っておくけれど僕の羽根は鋭いから」
 声も笑ってものになっていた。
「当たれば死ぬよ。幾ら鎧を着ていてもね」
「避ける必要はない」louis vuitton バッグ
 髑髏天使は静かにこう答えたのだった。烏男と彼の羽根を見つつ。
「この程度ではな」
「この程度ねえ」
「そうだ」
 言いつつ右手に剣を出してきた。
「これでな。こうするまでだ」
「んっ!?」
「俺を甘く見ないことだ」
 この言葉と共に剣を振るいだした。そうして烏男の黒い羽根を次々と払い落としていく。その剣捌きは以前にも増して速く鋭いものになっていた。
 瞬く間に全て払い落としてしまった。これにより難を逃れた髑髏天使であった。
「この通りだ」
「やっぱり凄いね」
「大したことではない」 
 今度は髑髏天使が自信を見せるのだった。
「さっきも言ったがこの程度で俺は倒せない」
「確かにね。それじゃあ次は」
「どうするつもりだ?」
「少し本気を出させてもらうよ」
 その言葉と共にまた背中の羽根に手をやる。そこから一枚の羽根を毟り取る。するとそれは今度は弓になったのだった。漆黒の巨大な弓であった。

N3944O-77
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第六話 帰蝶その十四

「織田との戦いに専念するとするかのう」
「ひいては斉藤とも」
「織田信秀には今まで痛い目にも遭ってきたわ」
 義元はその公家そのものの顔に嫌悪を漂わせて話す。
「それをまとめて返してやるわ」
「そしてその息子も」
「ああ、あれか」
 だが義元の言葉はここで色を変えたのだった。
「あのおおうつけか」
「左様です」
「あんなものはどうということはなかろう」
 まるで相手にしていない調子であった。
「おおうつけではないか」
「噂によればですね」
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「あ奴の代になればどうということはない」
 義元は笑って話すのだった。
「織田は終わりじゃ。その時に攻めるとしようぞ」
「ですが殿」
 雪斎の言葉は真剣そものもだった。
「それでもです」
「どうしたのじゃ?」
「織田を侮ってはなりませぬ」
 信長のことを言ってもわかってもらえぬと見てだ。家の名前を出したのである。そうしてそのうえで主に対して話をするのだった。
「若し尾張を統一すればその時は」
「尾張一国で六十万石はあるな」
「はい」
「一万五千の兵を出せるか」
 義元はすぐに己の頭の中で計算した。石高から出せる兵力はおおよそ決まっていた。彼はそこから尾張の兵を出してみせたのである。
「それに対して我が今川はじゃ」
「二万五千です」
 雪斎が述べた。
「駿河、遠江、そして三河で百万石です」
「それで一気に攻めよというのじゃな」
「若し尾張が統一されていれば」
 その場合について話す。だがこれは雪斎の頭の中では仮定ではなかった。彼は信長が信秀の跡を継いだならばすぐさま尾張を統一すると確信していたのだ。
「その時は」
「今川の全ての兵でじゃな」
「攻めるが宜しいかと」
「そうじゃな」
 義元もこのことには頷くのだった。
「それはそうじゃな」
「はい、ではその時は是非拙僧が先陣を」
「そこまでするというのか」
「一万五千の兵、決して少なくはありませぬ」
 兵に話を置いて話す。やはり信長は話には出さなかった。
「ですからここは」
「よし、ではその時は和上に先陣を任せよう」
「はっ」
「そしてじゃが」
 義元はここでさらに言うのであった。
「もう一人先陣を任せたい者がおるが」プラダ バッグ メンズ
「松平ですね」
「竹千代じゃ。どうじゃ?あれは」
 義元の顔がここで少し崩れた。
「あれはよいとは思わぬか。馬も刀も泳ぎも見事じゃ」
「確かに。どれを取っても素晴しいものです」
「おまけに頭もいいのじゃな」
「教えたことはすぐさま覚えます」 
 雪斎は主に問いにその通りだと返した。
「学問なら何でもです」
「それはよいのう。氏真は歌や政のことはすぐ覚えるのじゃがな」
「兵法についてはどうも弱く」
「わしもそういうところはあるが」
 義元の顔が暗いものになった。
「あれはわしに似たのか」
「殿、そういうことは言われぬべきかと」
「左様か」
「しかしその時はです」

N7632B-615
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カカの天下615「お結び式 雑談しまーす」

 乾杯、ということでトメです。

 妙に綺麗な花嫁姿のカカを見て、すでに娘を送り出す父親な気分です。や、僕は兄だったはずなんだけどな。うう、涙が……

 でねーよ。

「サエおねーちゃん格好いいです! カカ、似合ってます!」

「キャー! サエサマー!!」louis vuitton バッグ

 クララちゃんが興奮するのはわかる。しかしそこな母親、娘に様づけしつつ鼻血たらしながら『サエ命』のハッピ着て自作のうちわ振り回すってどうよ?

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「キャーキャーキャー!! カカサマー! サエサマー!!」

 うっさいなぁ歳甲斐も無く。でもサエちゃんしか見えていないわけではなく、うちわには『カカも命』って書いてあるので許す。

「キャッキャ! カカタマー! ブタタマー! カニタマー!!」  

 タマちゃんお腹すいてんのかな。

「わたちタマー!!」

 なんかのギャグみたいなシメ方だな。

「……ぜー、ぜー、ぜー」

 あ、サカイさんバテた。やっぱ歳だな。

「カカちゃんイイじゃん! お姉さんびっくりしちゃったよ……いいなぁ、あたしと違って女装が似合って」

 女装て。アンタと一緒にすんなや。

 お、あそこの二人は?

「なぁサラさんよ。確かにあいつら似合ってるけど……あえて普段のイメージと逆にした理由はなんかあんのか?」

「だってタキシードは黒いじゃないですか。だからサエちゃんに」

「なるほどな。今サラさんが皿を持ってるのとおんなじ様な理由ってわけか」

「り、料理食べるときは仕方ないじゃないですか! テンカさんだってお皿持ってるし!」

「残念だったな。天ぷら食ってるからオレはテンだ」

 テンとサラさんの組み合わせって珍しいな。ま、カカを中心にしょっちゅう集まって何かやってるからな、僕の知らないうちに仲良くなったのだろう。

 さて、ここまで祝われている当の本人たちはというと……

「サユカンサユカン」

「なによっ」

 カカとサエちゃんは仲良く腕を組み、

「にやり」

「ふふんー」

「う、羨ましくないもんっ!」

 こんな感じにサユカちゃんで遊んでいた。

「サラさーん!」

「はいはーい? 呼びましたかカカちゃん」

「サユカンが羨ましがってるからさ」

「だから違うわよっ! わたしはこれっぽっちも羨ましくないし華やかな衣装なんか気にもしないから――」

「サユカンにも衣装を着せたげて」

「お願いするわっ!!」

 前後の文章が繋がってませんよ?

「ふふ、了解しました。サユカちゃん、こちらへどうぞー!」

「はいっ! わーわー、なになに? 何を着れるんですかっ」

 数分後。

 サユカちゃんは結婚式に無くてはならない役――いや、無くてはならないモノの姿で現れた。

「ぶははははははははははははは!!」

 真っ先に大爆笑したのはテンだった、そして笑いは光の速さで会場へと広がっていく。僕も悪いけど……吹き出した。

「なんなのよぅこれはっ!?」

「ぶ、ぶぶっ、ブーケですあはははは!」

 そう、最後に花嫁が投げたりするあの花束だ。その花束が――サユカちゃんの頭に咲いていた。さながら花束に顔と手足がにょきっと生えたような、とっても愉快な生き物となっている。や、可愛いんだけどさ……ウケる。

「くはははっ! よぅサユカ! なな、投げてやろうか!? あははは!」

「教師のくせに生徒を指差して笑ってんじゃないわよっ!!」

「待てテンちゃん、投げるならあたしの方が適任だよ。あのブーケは重すぎる!」

「重いっていうなっ!!」

「サユカちゃん、よかったねー。ブーケを受け取った人は次に結婚できるんだよー。ね? カカちゃん」

「サユカンの場合は受け取ったというより、ウケ取ったって感じだけどね」

「カカちゃんうまーい!」

「夫婦漫才してんじゃないわよそこっ!」

「はい、タマ様。たかいたかーい、これでいいですか?」

「じょー」

「わたしの頭に水をやるなぁっ」

「元気になーれ」

「ならんわっ!!」

 元気じゃん。

 いやはや。身体を張って式を盛り上げようなんて、友達がいのある子じゃないですか。うんうん感心感心。それに比べてこっちの大人は……はしゃぎすぎて一人ダウンしているサカイさんに水を飲ませつつ、僕は皆のサユカちゃん遊びを楽しく見守っていた。

『――さて、ここでお二人の馴れ初めについて、少し触れてみたいと思います』

 おお? 盛り上がりがひと段落したところでキリヤのマイク音声が響いた。

『その前に一言。サユカちゃん、ぐっじょぶ』

「嬉しかないわよっ!」

『あっはっは! いやはや、ウケどころを取られてしまいましたが、こちらもなかなか面白いですよ』

 二人の馴れ初めね……大体は知ってるけど、改めて聞くのもいいかもしれないな。キリヤも直接二人にインタビューして聞いたらしいし。

『二人が初めて会ったのは――男子便所』

 マテや。

『そのときサエちゃんは苛められてました。便器味の水を飲めと無理やり押さえつけられて――』

 え、えぐ……!

『そこにカカちゃんが登場! 苛めていた男子の便器味の水どころかステーキまでご馳走し、サエちゃんを助け出したのです』

 何食わせた、オイ。

『そのサービス精神、うちのファミレスでも見習いたいと思います』

 頼むからやめてくれ。

 そもそもそんな話をされちゃ、せっかくの料理がマズくなる――

『貸しな!!』

『おっと!?』

 あれ、キリヤがマイクを奪われた!? 奪ったのは――給食の鬼と名高い南のおばちゃん!!

『そんな話をされちゃ料理がマズくなる……今、そう思ったやつがいるね!?』

 ギクッと身を震わせる人多数、もちろん僕も。どんだけ鋭いんだこのおばちゃんは!

『そいつらは罰としてこれを食いな!!』

 ギクッとなった人の前へとなぜかこの上なく正確に並べられる皿。その上には――なんか、赤黒い、臓器をそのままむしってきたような料理が……!!

『食いな!!』

 や、でも。

『食いなっ!!』

 でも、これ。

『食えやぁぁぁぁぁぁっ!!』

 姉をもビビらす咆哮に、僕は慌ててその料理を口に入れた。不気味なほどにあっさりとスプーンで切れてすくえたその物体は――とてつもない味がした。食べた僕らは揃って口元を押さえて悶絶する。

 そして、声を合わせて言った。

『美味すぎる……!!』

『はん、汚物の話や臓器の見た目ごときでマズくなるような料理は作っちゃいないんだよ。ナメてもらっちゃ困るね!』

 勝ち誇った顔で去っていくおばちゃん……負けたぜ。

『さてさて、なにやら私の出番が奪われまくりでちょっとジェラシー、キリヤンったらやんやん、なわけですが』

 酔ってんのかキリヤ。

『話を戻します。そんな、サエちゃんを苛め、カカちゃんに成敗された思い出の人が――会場にいらっしゃってます!』

 また微妙なやつ呼んだなー。公開処刑にでもする気か?

『どうぞー!』

 でもちょっとわくわく。

 ……ん。

 あれ。

『おかしいですね、ちょっと待ってください――もしもし、ゆーた君? 何やってるんですか……え? 本当ですか? そう、ですか……』

 電話を切ったキリヤは、とても残念そうに、

『申し訳ありません、思い出の人は、サエちゃんのファンクラブの皆様によって……その、色々ありまして、現在、東京湾だそうです』

 どゆこと!?

「あれ……? そういえば、さっきから弟ちゃんと連絡が取れな――ま、まさかそれってヤナツのことじゃないですよね!?」

『残念です』

「残念ですじゃなくて!!」

『ええ、もうすぐ東京湾に流れ着くころだということで』

「ここでそんな説明するってことはやっぱり!?」

『続きまして――』

「続かないでくださいよぉぉぉぉぉぉ!」

 サユカちゃんの次はサラさんいじりか。うむ、またこれも楽しい……本気じゃないよな? まさか、な?

『カカちゃんとサエちゃんの絆を決定づけることとなった方たちを、お呼びしています。感動の再会です』

 お、誰だ誰だ?

「あの、私の弟ちゃんは!?」

『大丈夫ですって』

「本当に?」

『ええ。だって私がここで頷いたら、私が人殺しになってしまうではないですか。だから大丈夫です』

「一ミリたりとも安心できる要素が見えないんですけど!?」

『はっはっは! サラさんの慌てっぷりを見て主役のお二人も満足のご様子。というわけでそろそろこの人は無視して登場していただきましょう、どうぞ!!』

 弟を心配しまくる優しいお姉ちゃんを放っておいて、皆の視線は開く扉へと注がれる。

 そして、現れたのは懐かしの――



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 皆でわいわい雑多なお話。それでも一言しか台詞がない誰かさん。哀れなり。

 さて、明日は感動のご対面と共にプレゼント贈呈です。はてさて誰のプレゼントが選ばれるやら……お楽しみに^^

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